超Aboutな旅日記

訪れた史跡を片っ端から、適当にレビューするブログです。

【レビュー】山口県に残された赤レンガのダム。桂ヶ谷貯水池堰堤

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今回は山口県山口市にある、赤レンガの古いダム、「桂ヶ谷貯水池堰堤」について書いて行きたい。        

先日、私も初めて行ったが、駐車する場所など色々と苦労したので、これも共有していきたいと思う。

 

 

 

アクセス

まずはGoogle MAPでどこにあるか確認してみよう。

・自動車の場合は、新山口駅から8分。

・バスの場合は、新山口駅から秋芳洞行きのバスに乗り、「釜ヶ渕」という場所で降りる。

そして数分歩けば、無事到着だ。

今回はどうやって「桂ヶ谷貯水池堰堤」まで行くのか、おごおり地域づくり協議会が作成してくださった地図を元に説明したい。

 

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どうやっていく?

ルート①

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Google MAPより参照)

 

まず、「小郡運動公園」と書かれた看板がある場所を右に曲がる。     

この際、小さな橋が目印になると思う。f:id:Jiris:20211121140019j:image

橋を渡ったら、斜め右方向にある道に曲がっていく。           

しばらく坂が続くが、諦めず頑張ってほしい。              

上の写真を見ると分かると思うが、一車線の道路となっている。      

もし車で行く場合、正面から車が来た際、一度バックして道を譲らなくてはならない。             

私のような車をうまく運転できない方にはあまりオススメできない。

後述する「駐車場①」に止めたあと、歩いて登るべきだと思う。      

工事現場?が見えれば、あともう少しだ

。ここから道なりに進んで行けば、このような看板を目にすると思う。   

矢印通りに進んでみよう。      

写真のようにきちんと整備されて、山道でも歩きやすくなっている。そこから少し歩けば、目的地に到着だ。

 

ルート②

先程、「小郡運動公園」と書かれてある看板を右に曲がるまではと同じだ。

曲がったすぐ後、直角に右に曲がる。

自転車道とか書かれている、少し狭い道が目印になるだろう。

そこから少し歩くと、石碑のようなものが見えると思う。

この奥を進んで行けば、目的地に到着する。

しかし先程のルートとは違い、少しあぜ道なので、それなりの装備でいくことをオススメしたい。

他にもいくつかルートはあるようだが、これについては次回また行った時に書きたいと思う。

 

駐車場について

駐車場

県道28号線の道路沿いにある。f:id:Jiris:20211121133524j:image

まず、県道に沿って走っていると、大きな橋の前に横断歩道と小さな看板が見えると思う。 

拡大するとこんな感じ。

ここを曲がると、駐車場に無事到着だ。

車一つ分のスペースしかないが、こんな廃墟に興味を持つのは一部しかいないので、多分問題ないだろう。

 

駐輪場

先程ルート②で石碑のようなものがあったが、そのすぐそばにある。

あまり良い写真はなかったが、写真の左に駐輪場がある。

ツーリストの皆様方には、ここに止めて散策することをオススメしたい。

ツーリングで足がパンパンの中、奥のあぜ道を歩かせるのは少々鬼畜の所業のような気もするが…

駐車場に関しては、おごおり地域づくり協議会曰く、他にもあるそうだが、それもまた追記していきたい。

 

詳細

そばにあった立て看板にはこのようなことが書かれていた。

登錄有形文化財
旧桂ヶ谷貯水池堰堤

 

旧桂ヶ谷貯水池堰堤は、大正一二年三月に竣工した旧水道堰堤で、堤高
約一三メートル、提幅約三メートル、提長約二四メートルの重力式コンクリート造堰堤です。
小郡町中心部は、江戶時代の「海開作」による埋め立て地に立地して
おり、住民は、水不足と水質不良に悩まされてきました。 

大正五、六年頃から上水道建設の機運が高まり、大正八年から水源調査に着手、大正九年には町内の有力者により上水道期成同盟会が組織されました。

大正一一年四月に工事が始まり、大正一二年三月に竣工、同年四月には給水が始まりました。

これは、山口県内では、下関市に次ぐ第二番目の本格的な上水道でした。完成した堰堤は、小郡の名所として絵葉書となり、また小学校の
遠足の目的地ともなり、多くの住民に親しまれました。

戦後に至るまで稼働し続けましたが、大規模な上水道施設の整備に伴い、昭和三〇年頃にはその役割を終えました。
当時の土木技術水準の高さを現代に伝えるとともに、緩やかなアーチ平面と煉瓦積みで丁寧に築かれた取水塔や高欄は、今なお優美な外観を保ち続けています。

引用:山口市教育委員会

少し長いので要約すると、このダムがある土地は埋め立て地なので、水があまり手に入らなかった。

だから上下水道の設備を作ることとなり、その一環として建てられたそうな。

江戸時代の長州藩は、藩の収入を安定させるため、沿岸を埋めたてた大規模な開墾が多くおこなわれてきたという(山口県教育庁社会教育・文化財課)。

特にダムがある山口市小郡・南部地域の多くは海で、開作によって農地や塩田が広がり、現在の姿になったのだそう(山口商工会議所)。

当然、川とかない場所に、カッコウの托卵並の無理矢理さで土地を拡げるわけだから、水は足りなくなる。

だから、上下水道を作って快適に暮らそうとしたのだ。こうして、「桂ヶ谷貯水池堰堤」は造られた。

昔から街のシンボルとして有名だったそう。

今はもう稼働していないというが、在りし日の姿を見ることができるのだろうか…

 

現地レビュー

今回は正規ルートっぽい、石碑がある入口から潜入していく。

まず、一番初めに目についたのはこの石碑。

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『小郡上水道貯水池入口』

確かに、私が今からいきたい場所が大きく書かれてある。

しかし後ろを見ると、私の服装(半パン・クロックス)ではNGであろう、ゴツゴツした道、生い茂った草。

「来るところを間違えたか…」

そんな気持ちとは裏腹に、足はどんどん奥へ奥へと入っていく。廃墟を見たい気持ちが勝ったようだ。

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いざ入ってみると、整備がきちんとなされていて、歩きやすい。

しかし、こんな山の中に本当にダムがあるのだろうか…

川口浩探検隊ならば、「その謎を解明すべく、森の奥地へと向かった」とこれ見よがしなテロップが表示されることだろう。

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数分後、暗い森の中に小さな光が見えた。

なんだろうかともう少し近づいてみると、やっと分かった。

お目当の建物にたどり着いたようだ。 

 

ここが「桂ヶ谷貯水池堰堤」だ。

想像していたよりも、数倍大きい。

また建物から水も流れていて、まるでまだ稼働しているかのようだった。

少し上に移動してみよう。

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赤のレンガがとても目立つ。

先程、下から見れば、コンクリートか石造りが目立つ、地味な印象を受けていた。

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しかし横からから見ると、中世ヨーロッパの古城のような小洒落な雰囲気に様変わりだ。

ちなみに真ん中にある丸い建物は、取水塔だったらしい。

ここで水の出し入れを調整していたよう。

私が一番気に入った部分は、ダムの手すり部分だ。

所々欠けている部分はあるが、チェック柄状に丁寧に積まれている。

ジェンガのように少し押せば倒れていきそうな精巧な姿。当時の職人の苦労が偲ばれる…

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中まで詳しく見たかったが、危険なのか立ち入りは制限されていた。

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崩壊する危険性を考えるとしょうがないのかもしれないが、少し残念だ。

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少し遠くから撮影。

稼働していた時は、水が溜まっていたようだが、今はもう完全に干上がっているようだ。

推測にはなってしまうが、満杯になった水が貯水ダムの姿を鏡のように水面に映る様は、さぞ綺麗だったと思う。

長年地域のために働き続けたこのダムは今は使われなくなり、今は朽ちていくばかりだ。

それでも、地域の役に立ったという功績は一生消えることはない。

そのためかボロボロになっても、なお輝いて見える。

以上で今回の報告を終わる。

 

山口市は取り壊す金がないのか、先人のものを大切にする性格があるのかは分からないが、他にもこういった貴重な建築がいくつか残されている。

今後、それもレビューしていきたい。

 

引用・参考

おごおり地域づくり協議会 「登録有形文化財 旧桂ヶ谷貯水池堰堤散策ルート図」現地案内板

山口市教育委員会登録有形文化財 桂ヶ谷貯水池堰堤」現地案内板

山口県教育庁社会教育・文化財課 「長州藩/内容:産業」『山口県文化財』 2021年11月21日

https://bunkazai.pref.yamaguchi.lg.jp/support/theme/tyousyuu/tnaka.html

山口商工会議所 「山口湾の開作 かつてここは海だった!」 『小郡・山口南部地区地域資源発掘事業 南の地図』2021年11月21日https://www.yamacci.or.jp/minaminochizu/yamaguchibay.html